こいぬと化したひと

何か適当にやっていきます

小説一話「出会いの前」

朝、部屋の小窓から太陽の光が少年に向いた。

人とは太陽の光が直接顔に当たると目がさめてしまうらしく、布団で気持ちよく寝ていた少年はその光によって目を開けた。

「うぅ・・」

黒髪に寝癖がひどい少年は眠たいながら体を起こし、クローゼットを開けた。

そして彼は家用のダボダボな緑色の長袖のシャツと藍色の長ズボンを脱ぎ、きっちりした白長袖シャツを着てボタンをしめ、黒色の決まった長ズボンをはき、ベルトでしっかりしめたあと、ブレザーをはおった。

彼はそのまま惹きつけられるようにスマホを見た

スマホは7:10を表示した。

「少し遅く起きたな・・まぁいいか」

そして彼はノロノロと足を上げながら扉を開けて、フローリングの廊下に足をつけた。

そして彼は気づいた 靴下を履いていなかったことを。

さっそく彼は部屋に戻り、黒靴下を履いた。

そして、またノロノロと足を上げながら扉を開ける。

目の前にはただ直線状に廊下が広がっていた

少年はとりあえず歩いた。

そして右手にある階段を降りた。

リビングでは誰かが朝食を用意している・・というわけではない

太陽の光が入り込んで少し明るくなったリビングの中、

少年は少し暗いキッチンに入り冷蔵庫を開け、昨日の夕飯の残り物を取り出す。

そして、電子レンジに入れ、2分待つ。

そして、少年はリビングの明かりをつける。

明るくなったのは机のまわりだけだった。

その間、少年はスマホを見る。

「7:20」、通知はまだ何も来ていない。

ツイッターを開く、TLには自分とは関係ない道端の石ころみたいな話でぎっしり詰まっていた。

チン

電子レンジの温めが終わった音だ。

少年はまたキッチンに入り電子レンジを開ける。

電子レンジの中にはラップが貼られた皿があった。

少年はそれを取り、近くの食器棚からスプーンをとって、誰もいない机に置いた。

ラップを開けるとほんのりいいカレーのにおいがした。

そしてご飯とカレーをかき混ぜ、スプーンでとり、食べた。

うん・・。

自分で作ったため、甘口で自分好みの材料を入れたからやはりおいしかった。

でも・・そこには両親の暖かさは入っていなかった。

「あ、 奥の方やっぱり冷めてる」

表面だけ熱かった。これは電子レンジあるあるでもある。

「まあ、こんなもんでいいよね」

少年は自分に言い聞かせながら、カレーを食べきった。

そして、少し重たい学校用のショルダーバッグを肩にかけ、リビングを出て玄関に行き、黒いスニーカーを履いた。

そして、ドアハンドルに手をやったとき、少年は小言をつぶやいた。

「いってきます」

そして少年は扉を開け、外にでた。

コンクリートのかたい地面だ。コンクリートのかたい電柱だ。

コンクリートもしくは石でできた壁がずっとならんでいた。

少年はいつもどおり歩いた。

斜陽が照らす明るい道を、ズボンのポケットに手を入れながら少し下を向いて歩いていった。

寒い風が吹き付ける。

でも彼は少し楽しかった。

彼は妄想するのが好きだった。

そして、今日も妄想した。

いつも通っている通学路は今日はファンタジーの町並みだ。

コンクリートの道は石造りの道となり、道行く電柱はナゼか生えてる木だ。

通学路を通るのは少年だけじゃない、ふざけあいながら隣を過ぎ去っていく旅人も、

なぜか知らないが走っているムラのおじさんもいる。

そして、途中鳴き声を上げながら馬車が自分のとなりをゆっくり通る。

少年は密かにそんな妄想をしていた。

そして、少年の妄想は虚像を生み出した。

それは、茶色い髪をしたロングヘヤーの清楚な女の子だった。

その子は少年のことをただ唖然と見ていた。

そして、それだけで終わらず、ついてきた。

身長は同じぐらいだろう。

少年はその虚像と遊びたくなった。

でも、それが虚像であることは少年も知っている。

だから、少年は頭の中でその子と追いかけっこした。

鬼は女の子だ。

少年は捕まらないように路地裏に隠れた

誰かが自分を探しているそう思うほどに少年は笑顔になっていった

しかし、しばらく隠れていると自分の周りがうるさく感じるようになってきた。

少年は妄想から抜け現実に戻った。

周りでは楽しそうに笑いあっている二人組やグループが自分より遅い歩調で歩いていた。

少年はそれを横目で見ながら、校門を抜けた。

そして、下足まで歩き、ロッカーを開け、黒靴を入れ、そして、白い上履きを地面に落とした。

そして、少年はそれをはき、教室まで歩いた。

ここでも妄想をしているはずなのに、何故か今日はしなかった。

そして、席に座る、

まだ朝練の時間だ、教室には自分しかいない、

少年は机の中に入っていたスケッチブックを出し、お絵かきをしだした。

絵は下手くそだ。人物なんて棒人間以外まともにかけない。

だから少年は背景を描いていた。

でも今日は違うかった。

少年はそこに絵を書き始めた。

それは、妄想の女の子であった。

そして、女の子を下手くそながら書き、そして、髪を黒く塗った。

茶色を二色でどう表したらいいかわかんなかったからだ。

そして、少年はその絵を書き終えるとある文字列を付け足した

「こんな女の子と楽しく笑い合おう!!」

少年はここで気づいた。なんてひどい絵なんだと。

その絵は女の子というより分厚いベーコンをカツラ代わりにかぶっている棒人間のようだった。

「うーん やっぱり下手くそだなぁ・・」

そう言うと少年は絵が書いてある紙を破った。

そして、ゴミ箱に捨てた。

「こんなことに意味なんてないけど・・」

そう言い放った少年はまた席に座った。

すると シャーペンを持って、真っ白な紙に何かを描き始めた。

ただ夢中で書き始めた。

そして、書き終えた後少年は言った。

「これならまだましだろ!」

そこに描かれてあった絵は妄想の女の子が笑っている絵であった。

少年はその絵に背景を付け加えた。

出来た背景は 草原の上にある一本の大木であった。

そして、少女はその下で笑っていた。

少年は少し楽しくなって、人物を書き始めた。

そう、棒人間であった。 そして棒人間の丸い顔の中に「僕」と書いた。

その時、人の声が聞こえた。

そうクラスの奴らが近づいてきたのである。

少年は咄嗟にその絵を机の中に隠した。

そして、席から離れ、校舎裏に行った。

校舎裏は枯れて茶色くなった草で満たされていた。

少年は校舎にもたれかかった。

地面には草があった。

少年はそこでしたを向いた。

すると、自分の一メートルぐらい離れているところにある藪に赤い何かがあるのを発見した。

少年は立ち上がり、そしてその赤い何かに近づいた。

どうやら、布であった。

紅で染められたとても肌触りがいい布切れだった。

「なんでこんなもんがここに・・」

その時チャイムが聞こえた。

少年はそれを聞いて、焦った。

そして、何故かポケットにその赤い布切れを入れた。

そして走って教室に向かう。

そして席に座った。

すると、ハゲた担任が言いながら入ってきた。

「はいじゃあ出欠とるぞ」

おっさんの鈍い声が聞こえる

とりあえず、少年は赤い布をポケットから取り出した。

「(どうしよう・・これ・・あとで戻しとくか)」

すると、担任がまた言った

「えーっと 今日言ってた持ち物チェックだけしときまーす はいじゃあ風紀委員」

そう言うと風紀委員の男女二人が持ち物検査をしだした。

少年はここでやばいと思った。

持ち物検査ではポケットの中にあるものを机の上に全て出さないといけないのだ。

「(やばい・・これは怪しまれる・・そうだ!!机の中に入れておこう!!)

そして少年は咄嗟に赤い布切れを机の中に入れた。

そして、風紀委員が近づいてきた。

少年の番であった、少年は立った。

風紀委員がきいた

「ないよね?」

少年は机の上にティッシュとはんかちをのっけた

「一応ボディーチェックするな」

そう我が校ではナゼかボディーチェックも持ち物検査に入るのである。

もちろん何も入っていないから すぐに終わった。

「OK じゃあ次」

よかった、何も起きなかった。

少年は席に座った。

そしてぼーっとしていた。

気がつくと授業が始まっていた。

一限目は社会だ

社会は嫌いだった少年は寝た。